2020/06/15 18:47
石の仕事を始めて色々な情報を見ていると、
いわゆる「宝石業界」においては
石に様々な加工がなされているということが話題になります。
加工と呼ばれるものには、
石を加熱して美しい色を引き出すこと
色の元となる元素を原子に浸透させること
鉛ガラスを注入してクラックを目立たないようにすること
高温高圧で処理すること
石にドリルで穴を開けて漂白剤で内包物を漂白すること
などなど・・・色々あります。
私も調べてみて、こんなにあるんだ!と思いました。
加工の中でも、大きく二つに言われているようで
「エンハンスメント」と
「トリートメント」というのがあることも知りました。
印象としては、エンハンスメントは「高める」という意味なので
元あるものの良さを引き出す、という印象の言葉、
「トリートメント」はもう少し強い意味合いのように私は感じています。
この中でも一番最初に書いた「加熱」に関しては
「エンハンスメント」とされ、
昔々からされていたり、
また、ルビーやサファイアなどの石には
かなりの確率でなされているということもあり
宝石業者さんの間では通常のものとして受け取られている印象があります。
色々なネット上の情報を見ていて、よく見るのが
「エンハンスメント」は女性のメイクアップのようなもので
「トリートメント」は整形手術だ、と言われているもの。
なんとなくですが、
エンハンスメントは容認、
そしてトリートメントは悪、という印象を受けます。
ここからは色々な解釈があると思うので
あくまで「パトラ個人の解釈」として聞いていただきたいのですが、
私の考えでは、たとえお金が目当てだったとしても
せっかく掘り出された石を美しくして世に送り出したい、
という思いがあったのなら、それはそれで尊いことなのではないかなと思っています。
(多分これは、宝石業界の方からすると全く認められない、という意見かもしれませんが!)
石が、地殻の中からせっかく見つけ出されても
それが黒っぽかったりして価値のないもの、と廃棄されるよりは
美しくなって世にでる方が、綺麗だなーと愛でる人がいるのなら、その方が私はいいなと思う。
ただ、それで人を騙すようなことがあるなら悲しいことだけれども。
だって、そもそも宝石を掘り出して
研磨をして身を飾る美しいもの、としたのも人間で。
宝石、というものにそれぞれ名前をつけて価値を持たせたのも人間で。
この色が価値がある、としたのも誰か人間で。
全て、人間の仕業なんですから、
私という人間にとっては、どれも愛しいことなんですよね。
ただ、意見や価値観というものは人それぞれで、
それを否定するつもりはないので、
出来るだけの情報は開示したいと思っています。
ただ、鑑別に関しても
それが国や機関によって判断が変わったり
ある団体の取り決めによってYesかNoかが変わってくる場合もあり
その鑑別自体がどんな意味があるのだろうか?と
思ってもいるところです。
私がセレクトするときに大事にしているのは
全体的な色や形やサイズ、カットなどのバランスと、
あとはひとえに私の「これいいな」という感覚。
今回話題にしている「加工」についていうならば、
ルビーの「含浸」(鉛ガラスをクラックに充填すること)については、
実際含浸のルビーを見て、表面上にある跡のようなものがあまり美しくないと思いました。
なので、含浸のものは購入していません。
パトラ・ジェムにおいては、
私パトラのセレクトした、私が美しいな、いいなと思う石を紹介する、
ということが一番大事なことなので、
そこをご理解の上、それをいいなと思う方とのご縁ができていくといいなと思っています。
鑑別に関してはまた、
私が調べて感じたことをお伝えしていければと思っているところです。