2021/05/12 16:17

パトラジェムジュエリーについて、

今朝も記事を書いたところですが、

もー本当にたくさん書きたいことだらけで。

まだその熱の放出がおさまらないので(笑
その続きを書きますね。

私たちがパトラジェムジュエリーで作りたかったもの。

それは、タイトルにあるような
「姫すぎず、デコすぎず、日常合わせやすく、そして人の手を感じるもの」。

まず、「姫すぎずデコすぎない」について。

これについては、
ずーっと「人と服」を見てきたファッションコンサルタントの目として、

いま世の中に出回っているジュエリーって、
ほとんどがその「モノ」としてのバランスしか見ていないんじゃないか、って感じています。
(きっと男性主導で進んできた世界、っていうことがあったかもしれないなと思います)

どういうことかっていうと、
その「モノ」だけ見ていればいいかもしれないけど、

実際に着けた時、
その「人」とのバランスが取れてない、ってことがよくある。

ちょっと他人事として考えてみてほしいんですがね。

そうね、あなたの高校時代からの友人が
デニムに白シャツ、もしくはボーダーのTシャツ、
帆布のトートバッグ、スニーカー
といういでたちで待ち合わせにやってきて、

指には、2カラットを超えるような鮮やかな色の宝石に
ゴージャスにダイヤが取り巻いている太めのジュエリーをしている。

これって、極端な話かもしれないけど、
それがしっくりこない。。。というのはなんとなく感じていただけるかなと。

モノを、たまに箱から出して観賞するにはアリだけど
実際のリアルクローズで身につけるにはちょっと見るのがつらい、というものがザ・宝飾の世界には多い。

ファッションでもそうなんです。
ファッションコンサルを受けてくださる方に日頃着ていらっしゃる服を見せていただくと
例えば、柄はチェックで色もあってフリルがついていてデザインはカシュクール、
みたいなものがあったりする。

バランスよく見せる、って、引き算なんです。
なので、トップスでそれだけの要素があると、
組み合わせるパンツなりスカートがかなり制約を受けてしまうんですよね。

なので、色や柄があるなら形はできるだけシンプルに。
その代わり、丈と身長のバランスを慎重に見ること。
全身の色の統一感をもたせること。その上で差し色はあり。
そういうことが、シンプルでセンスよく見せる一つのコツなんです。

と、ここまでで
私が「シンプル」がいいと思っていることは伝わったでしょうか・・・

で、最近はそういうことが広く認識されてきたのか
手作り感のある細身のジュエリーが増えてきました。

けれども・・・
その多くが、「姫っぽ」すぎるように私は感じていて。
(あくまでファッションとの合わせ、という観点ですが)

シンプルに石がひとつだけ、というリングでシンプルで
身に着けたときのバランスがいいものって少ないな・・・って感じているのです。

時代の流れで、シンプルなジュエリーも多くなってきているのですが、
引き算、っていうのは本当に難しいんですよね、ものづくりにおいて。

さらに、そこに「人の手を感じる」ものを作るっていうのがさらに難しい。

これは、何人もの職人さんとカンカンガクガクやりとりをして
いやというほどわかりました・・・(どれだけそれで倒れてきたか・・・笑

きっちりと無機質な正円を作り、隙がないくらい磨き上げるほうが、簡単なんです。
いまはコンピューター製図もあるし。

ピカピカの鏡面仕上げで
ただ金の線をぐるっとリングにしたところに石が爪で留まっている、
というリングもよく見かけるようになってきました。

私という人間の目で見た時、
それはなんだかとても・・・廉価な工場生産のシンプルっぽく見えやすい。

たぶんね、石と腕の
素材感、太さ細さ厚み、
そういうことのベストのバランスを詰めきれていないからじゃないかなと思うのです。
でも、価格を抑えようとすればそこまで詰めることは多分難しいんだろうなあ・・・とも思う。

私はアンティークジュエリーが好きなのですが、
アンティークのジュエリーがいいのは、人の手の温もりを感じるところ。
おそらくその時代にジュエリーを身につけられるような身分の高い人のため、
一つ一つ、バランスをみながら丁寧に作られていたからじゃないかな、と思います。

私が作りたいものは、
そんなアンティークと寄り添っても
ちゃんとしっくりと空気感を共有できるようなもの。

出来上がったリングをパッと見たら、
シンプルすぎるくらいシンプルだけれど、
きっとパトラジェムジュエリーのリングは
着けてみて、その良さを実感していただけるのではないかと思うのです。

パトラジェムジュエリーがやろうとしていることが
いまの時代にあっているのかはわかりません。

人の手をかけ、エネルギーをかけ、愛情をかければかけるほど
それを安価で出すことは難しくなります。

シンプルであっても、
いえ、シンプルであればあるほど、そうなんです。

だけど、それでもやりたいんです。
私の中にそれが響いているということは、
きっときっと、それが響く人がいる。

そう信じて、進んで行こうと思います。

by Patra


写真は、私の私物のヴィクトリアン時代のアンティークのパールリングと
パトラジェムジュエリーのモンタナサファイアのリングを組み合わせたところ。
ね、空気感、しっくりしているでしょ^^?